人の縁「えにし」とは不思議なものだな、と思う。
目の前の「あなた」を、赤の他人とは思えなくなった時から
私とあなたの関係は始まる。
そこには私の意志よりももっと大きな誰かの意思があるのではないかと思う。

私と「あなた」はなぜ出会ったのか。
そんな問いを何度くりかえしただろうか。
答えは、ない。
それでもきっとこの出会いには意味があったのだろう。
そう思えたなら幸せだ。



「あなた」が存在していること。
「わたし」が存在していること。



傷ついて、傷ついて、
傷つけられて。
そして、傷つけて。
傷つけたことにすら、傷つく。
それでも「あなた」を求めてしまう。
それほどまでに「縁」にふりまわされても、
幸せだと思う。
そんな出会いをしたい、と思う私は
マゾヒストとも言えるかもしれないけれど。
「私」しか知り得ないわたしが、
「あなた」という存在に刻まれるなら、
それでもいいと思う。
「わたし」はあなたの中に存在し、
「あなた」はわたしの中に存在する。
「わたし」の中のあなたも、
「あなた」の中のわたしも。

愛している、という言葉さえもどかしいほどに
誰かを求め、求められたいと願う。
独り寝のこんな夜には、特に。