憧れる女性

赤川次郎が好きだというと、「それはもう卒業でしょ」と言われますが…確かにそう思う。推理小説というよりはライトノベル的な小説だからね。
けれど、そんな中でずっと読み続けているのが杉原爽香シリーズ。年に1作ずつ出て、登場人物も同時に年を重ねていくというちょっと変わったシリーズもの。1988年からで、今年でちょうど20年。私が初めて読み始めたのが1993年のことで、もう10年以上も読み続けていることになります。毎年秋になると文庫で出版されるのですが、今日コンビニで新作を見つけたので購入してしまいました。
ま、お話自体は昔のほうが好きだったし、特にどうということはないんだけれども、この主人公の杉原爽香という人がねぇ、魅力的なのですよ。正義感が強くて、茶目っ気があって、周りの人がみんな彼女のことを好きになっていくというのはよくある主人公像ですが、仕事が出来る、それも頭がキレるとかそういうことよりも、人と仕事をしていく上でのポイントを外さない、裏方に徹することができる、物事に柔軟に対応できる、そういった裏表のない誠実さというかそういうところがよく書かれていて、こういう人になりたいなと思わせるようなそういう人物として書かれているところがすばらしいと思う。
赤川次郎の小説に出てくるヒロインにはそういう「この人素敵だなぁ」と思わせる女性がよく書かれていて、小説の出来云々はともかくとして、そういう人物を描き出せるところは素直にいいなぁと思うのです。