「あの人みたいになりたい」

そう思うことがある。断片的にだけど。
あの人のこういうところ、この人のこういうところ…
そんなものをつなげていったら、私のなりたい人になる。

もちろんすべてが可能なわけじゃない。
時には相反するものに憧れる。
できあがった私はつぎはぎだらけで、矛盾に満ちている。

それでも私はそういう「モデル」となるような人に会えたことに感謝している。
「オリジナルは情報の真空地帯には生まれない」のである。
私は私という文脈の中で、集められ、織り上げられたテクスチャーの総体だ。
コピーされ、ペーストされたオリジナルは、それ自体もまったくのオリジナル−零度のエリクチュールで構成されたものではない。
誰かの人生は、また他の誰かの人生の上にある。

私もまた誰かの「モデル」になることがあるんだろうか?
誰かに憧れられたりすることもあるんだろうか?
もしそんなことがあるとしたら、ちょっと嬉しいかもしれない。
「私」という存在も、そのミクスチャーの成果としてのオリジナルなのだから。